第3回学術講演会「インプラント時代の歯周マネジメント」

開催概要

  • 日時 平成30年2月27日(火)19:30~
  • 場所 八南歯科医師会館 2階ホール
  • 演題 「インプラント時代の歯周マネジメント」
  • 講師 和泉雄一先生 東京医科歯科大学大学院 歯周病学分野 教授

梗概

歯周治療の目標は、第一に、歯周局所からプラーク細菌やその代謝産物等の感染源および感染物質を取り除くことによって疾患の進行を止めることである。次に、歯周局所の環境を整え、炎症によって破壊された歯周組織を健康な元の状態に回復させることである。このような観点から、歯周治療は、検査・診断、治療計画の立案、患者へのモチベーション、歯周基本治療、再評価、歯周外科治療、咬合・審美性の回復、メインテナンスと進められていく。プラークコントロールを徹底し、歯根面をスケーリング、ルートプレーニング等機械的に清掃することにより、臨床的には、probing depthの減少やclinical attachment levelでの付着の獲得、歯肉の強化が得られる。

これまでの治療法では、疾患の進行を止めることは出来るが、破壊された歯周組織を完全に復元することは不可能である。しかし、近年の再生治療の進歩により、炎症によって破壊された歯周組織を元の健康な状態に回復させるという目標に徐々に近づきつつあるといっても過言ではない。また、露出歯根面の被覆や歯肉歯槽粘膜に対する治療法が歯周形成外科手術として注目されている。インプラント治療が広く行われるようになり、より良いインプラント治療の達成のため付着歯肉の獲得、GTR法の概念を応用したGuided Bone Regeneration – GBR法に関する手術の需要も高まっている。

インプラント治療は、欠損補綴治療を行う上での必要な選択肢のひとつであり、機能的にも審美的にも優れ、患者にとっても歯科医師にとっても非常に有効な治療法となっている。インプラント治療のリスクインディケーターとして、オーラルハイジーン、喫煙、アルコールの消費、歯周病の既往、コントロール不良な糖尿病、遺伝形質、インプラント表面性状があげられているが、インプラント表面性状以外すべて歯周病の関連因子でもある。成人の歯周病罹患率が80%を越えている現在、インプラント治療を行う前提には、歯周病の治療とメインテナンスに関する知識と技術が必須である。

今回、インプラント治療を考慮した歯周病患者の歯周マネジメントに焦点を当て、歯周治療の進め方について皆様と共に考えていきたい。

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